ひとひら


繰り返しの果て


 

子供は、繰り返しが大好きです。
例えば絵本。
うちの子は、幼い頃、私が絵本を読んでいると、自分のお気に入りの箇所に来ると、もう何度も読んでいるので、知り尽くしているはずなのに、同じリアクションをし、もう一度
その部分を読んでくれとせがみました。
自分で字が読めるようになってからも、お気に入りのページは何度でも開いてみて、絶
対に飽きる事がありませんでした。
積み木や縄跳びやお絵かきや鬼ごっこやその他諸々、子供たちはどんなことでも、自分
の好きなこととなれば夢中で、大人からするとなぜそのように単純で代わり映えのしな
い事が面白いのだろうと、不思議で仕方ないのですが、子供たちはそんな大人の疑問を
よそに、本当に楽しそうに繰り返す事をひたすら続けるのです。

この「繰り返し」は、やがてその子にとっての、重要な芯となっていくものですから、
大人は絶対に拒否してはいけません。
受け入れ、見守り、時には一緒になって楽しむ事が大切です。
ここで、「繰り返し」を当たり前のように受容され、認められ、賞賛された子どもと、 拒絶され、否定され、馬鹿にされた子どもとでは、将来大きく道を分けることになります。
前者は道を付けられ、後者は道を阻まれる。
とは言うものの、そこからまた自分なりに切り開いていくのが道というものなのでしょ
うが。しかしながら、できれば子どもたちには、素直に、また何事にもひるむことなく、
道を切り開く力強さを持ってほしいものです。

「できるわけがない」という否定の気持ちではなく、
「できるはずだ」という肯定の気持ち。
どんなに困難なことでも
「トライしなきゃわからない」のであって、
「トライしても無駄」ではないのですから、

そういう前向きな気持ちを根付かせるためにも、子どもの頃の
「くどいほどの繰り返し活動」は、最も意義のある 
そして最も基本的な「ヤル気を育てる」方法なのです。
時に子供たちの「繰り返し」の世界に、大人の私たちも引き込まれ、幼い頃の記憶が蘇
ってくることもあります。
子供たちの世界観は本当に自由で、何物にも左右されない強さと柔軟さを持ち合わせて
います。

たまには童心に返って、昔自分たちもやっていたであろう「繰り返しの術」に挑戦して
みたいものです。きっと自分の好きだった事を思い出し、もう一度それにのめり込めば、
幼かった頃の自分の心に寄り添うことで、癒され、新鮮な気持ちを取り戻せるのではな
いでしょうか。

自分が幼い頃好きだったことを、じっくり思い出してみましょう。
そしてかつてのように、何度もそれをやってみましょう。
体の中から自然に沸き起こる自信のようなものが、感じられるに違いありません。

繰り返しはやがてあなたの味方になってくれるでしょう。
どんなに稚拙なことでも、どんなに当たり前のことでも、
その繰り返しを続ける事があなたの血となり肉となっていくのです。
飽きてはいけません。