ひとひら


約束は自信につながる

 
電車の中やレストランで、騒いでいる子を叱っている親をよく見かけます。
そして、言われたところで子どもは騒ぐのをやめません。
親のほうも、「とりあえず注意している」という体裁だけの場合が多い。
特に小さい子にとっては、思わず走り回りたくなるような場所。
でも、周りの迷惑になりますから叱らないわけにはいきませんね。
そこでどのように叱るか。
という話ではなく、今日はそれ以前の話をさせてください。
その場その場で叱っても、効き目がないことはもちろん、子どもに「親はとりあえず言っているだけ」というのがバレバレなんです。
その場しのぎの「注意」は効き目がありません。
ですから、それ以前の対応がモノを言うのです。
ではどうすれば子どもは言うことをきくようになるか。
約束、です。 約束をするようにすればいいのです。 
それは今日が今日、効き目が表れることではないですが、子育てというのは「積み重ね」ですから、気長にやっていきましょう。
子どもというのは、言われたことに従おうとしませんが、約束したことは守りたがります。
最初はそれでも、約束も破るかもしれません。
でもめげずに、守れたときには大喜びしてあげてください。
約束を守れなかったことに注目せずに、守れたことに注目してください。
大人でもそうですが、例えば、自分の短所を気にしているとなかなか良くなりませんよね?
それは、自分自身が自分の短所にいつまでも「注目」しているからです。
気にしているということは、注目しているということです。
注目しているうちは、意識がそこに集中します。
ですから、そこに囚われるためになかなか改善されません。
自分で自分の首を絞めている、という典型ですね。
注目している限り、そこから目を離せません。
ということは、ずっとずっとそれを引きずり続けるのです。

以前、うちの長男がチック症でした。
当時、うちは夫の浮気や暴力で家庭が荒れていました。
そのストレスが、長男のチック症という症状に表れたのです。
まぶたが、ピクピクするたびに「我慢しなさい」「ほらまた動いたよ」などと、常にそれに「注目」していました。
いつになっても治りませんでした。
本人もそれをすごく気にして、顔を押さえる毎日。
ある日これではいけないと思い、逆のことに注目しました。
動かないときに「動かないね」とか、動いて本人が気にしても、「気づかなかった!」などと、動かないことに注目したのです。
なんと。
2年あまり続いたチック症が、たったの1ヶ月で治りました。
いかに、「どこに注目するか」で違うかを実感できた経験でした。
ですから、どうせなら「長所」に注目してみましょう。
ぐんぐん伸びて行きます。だって意識しているのですから。
どこかに出かけるとき、「○○ちゃんは約束の守れる子なんだよね。だから騒がないってお約束したいなぁ」と話す。
子どもは喜んで「約束する」と言うでしょう。
そして、それを実行しようとします。
子どもですから、ついはしゃいで騒いでしまうかもしれません。
そのときは「お約束したよね?」と促すだけで、子どもは考えます。
もし守れなかったとしても、ちょっとの間は守れたことに注目してあげてください。
次はもうちょっと長い時間守れるように、必ずなります。
守れなかったからと責めたり、がっかりした顔を見せないでください。
子どもの「約束を守りたい」という気持ちが伸びません。
そして大事なことは、日常の些細な約束も、親のあなたは極力守ってあげてください。
約束というのは守るものだ、ということを教えられるのは、親のあなたの行動だけです。
親がいつも適当なことを言って、約束を守ってくれないと、あきらめの早い子に育ちますし、友達と約束を守れない子になります。
そうなると、友達から信頼されないために、人間関係が上手く行かなくなります。
約束をいちいちする。そして守るようにお互いが努力する。
たったそれだけですが、無駄に大声を出して叱らなくても言うことを守るようになります。
何より、「約束を守れた」という自信が、子どもにとっていいことです。
次につながります。
どうか、「守れた」ことに注目してあげてください。

飛躍的に「言うことがきける子」になっていきます。