お稲荷さん(最上さん)

  江戸時代の俚諺(りげん)に『伊勢屋 稲荷に 犬の糞』と言うのがあります。

これは、伊勢屋という屋号と稲荷の祠(ほこら)は犬の糞ほど何処にでもあるという意味ですが、それ程稲荷信仰が盛んであったと言うことです。

現在でも稲荷の分霊を祀った社(やしろ)だけでも三万以上あると言う事です。

 ビルの屋上、会社や商店の敷地内、個人の家などにまつられているものまで含めるとその数は膨大なものになります。

 イナリと言うのは、イネナリ(稲生・稲成り)、イネニナルの詰まったもので、もともとは農業神であったのですが、神道や仏教と習合して除災得幸・開運勝利・商売繁盛の神へと変貌しました。

  秦公伊呂具(はたのきみいろぐ)の伝説を基としたのが伏見系の稲荷で本体は宇迦之御魂命(うかのみたまのおおかみ)。

仏教系ではインドの荼枳尼天(だきにてん)を基としたのが豊川系の稲荷。

法華系では法華経信仰と結びつき最上稲荷または最上さんと呼ばれる。

 最上稲荷は正式には「最上位経王大菩薩」といい、妙法蓮華経の本仏が衆生済度のために菩薩の姿をもって応現されたものであるとします。

 どれも狐にまたがっていることから、中には稲荷の御神体が狐であると、間違って信じている人さえあり、狐の好物が油揚げだということで、稲荷に油揚げを供えたりしています。まあ、それぐらい身近な存在であると言うことでしょうね。

 

    稲荷堂

当山の稲荷堂は昭和天皇の大嘗祭のときの古材を下賜されて建てられたものです
又、彫刻師・近藤泰山の装飾もあります







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